引用元:2017年1月4日 ウレぴあ総研
子どもを一流大学に行かせるには、塾や学校での学習がもっとも重要だと思っていませんか?
しかし文科省の教育改革により、知識詰込み型の学力は4年後には通用しなくなります。
2020年度からは記述式問題を取り入れた「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」という新しい選抜試験が導入されるのです。
この新テストで試されるのは、知識を活用する力。暗記中心の勉強をするだけでは、これからの時代に求められる賢さは身につかないわけです。
“受験のプロ”としてさまざまな教育メソッドを開発する松永暢史先生は、今後子どもに必要となる能力は「主体性」「協働性」「多様性」とし、家庭における日常の積み重ねが大切だと主張しています。
松永先生の著書『将来賢くなる子は「遊び方」がちがう』では、いま実践すべき子育て法が紹介されています。子どもの可能性を伸ばす家庭環境について、松永先生にお話を伺いました。
受験のプロが教える“賢い子に育つ家庭の共通点”
親として、子どもが良い習慣を身につけられる環境を作ってあげたいもの。
松永先生は、家庭教師として40年間で800軒以上の家庭を訪問。そして賢く育つ家庭には共通点があることに気づいたそうです。
本書では、リビングには本棚があること、地球儀や地図が置いてあることが挙げられています。
地球儀があることで、例えば本や新聞で知らない国の名前が出てきた時に、どこにある国かをすぐにチェックする習慣が身につくといいます。
さらに「ホンジュラスって中央アメリカにあるんだ。グアテマラの隣だからコーヒーもよく採れるのかな?」などと、子どもの探究心も広げていけるのです。
子ども部屋のベッドは学習机の真上に設定すべし
――子ども部屋作りでは、気をつけるポイントはあるでしょうか?
松永暢史先生(以下、松永)「子ども部屋はたいてい6畳以下だと思います。小学生のうちはともかく、中学生にもなれば、自分の部屋で起居することになります。
そこでよく集中して勉強できる子が伸びることになるので、その教育環境設定は大切です。子ども部屋に必要なものには、これらが挙げられます。
(1)作業や学習などをする、わりと大きな机
(2)睡眠するベッドか布団
(3)友だちが来たとき、最低3~4人で話ができる空間
6畳以下ですべてを充たすには、毎日布団の上げ下ろしをする習慣がなければまず不可能です。
またベッドの家が多いですが、ベッドが目に入れば、そこに腰をかけてやがて横になってしまいます。居住の空間もありません。」
――では、全てをクリアするにはどうすればよいのでしょうか。
松永「たとえば、180cm×360cmの縦長の4畳の部屋の場合。まず部屋の一番奥に、ラックなどで床から70cmほどの高さのところに180cm×90cmの頑丈な合板を乗せて、それを机とします。
何らかの工夫で、その真上に床から140cmのところにもう一枚合板をしいて、手すりなどで補強し、そこがベッドになるように設定します。
こうすれば、ベッドは普段は目に入らず、梯などで這い上がらなければならなくなるので、寝る時以外は行かなくなります。机の両側は本棚か整理棚とし、机下は収納に使ってください。
大工さんに頼めば簡単ですが、自分たちでホームセンターに行って必要なものを用意して作れば、安価で済ませられます。これなら友だちが来ても十分な広さが確保され、勉強中もベッドが目に入りません。
部屋の構造や窓のある位置によって異なるので、これは一例として参考にしてみてください。」
子どもの勉強は「親が強制しない」を鉄則すべし
みなさんは、子どものテストの点数が悪いと「もっと勉強しなさい」と叱っていませんか?
毎日「塾の宿題はしたの?」「宿題を早くしなさい」などと口うるさく言っているママも多いのではないでしょうか。
しかし親がガミガミと口を挟むことが、成績が伸びない原因となっているかもしれません。
「やりたい勉強ではなく、やらされている勉強だからちっとも頭に入らない」と松永先生。
人間の脳は自分が好きなことを前にすると活性化し、逆に嫌いなことを前にすると眠くなるようにプログラミングされているのだそうです。
また学年が上がり、学習内容が難しくなれば、子どもは壁にぶち当たるようになり、前に進めなくなってしまうといいます。そこで親が強制しないことが鉄則になるとのこと。
もし子どもが得意科目だけを勉強するようになったとしても、得意なことを伸ばし自信がつけば、苦手科目にチャレンジしようとする気持ちにつながっていくのです。
また、子どもに将来の夢を聞くようにしましょう。その夢を叶えるためには今、何を学ぶべきなのかを考えさせることは、勉強の原動力になる可能性があるからです。
宿題しない男の子には段取りを組んであげるべし
ただ絶対にしなければいけない学校の宿題の場合は、「早く終わらせてほしい」と願うもの。
とくに夏休みなどの長期休暇では、最終日になっても終わらないなんてことは避けたいですよね。すぐに来る冬休みに向けても、学校の宿題をさせる方法を松永先生に伺いました。
――学校で出された宿題をしてほしい時、親はどのような行動をとればよいのでしょうか。
松永「後々の学習の土台になる漢字や言葉の学習、算数の計算などの基礎学力は、宿題などの反復によってこそ身につくものです。
多くの女の子のように、ママが怖い顔をして『やりなさい!』と言ってすぐやるなら世話はありません。
しかし『やりなさい』と言っても、『あとで』とか何かとぐちゃぐちゃ言ってすぐやらないことが多い男の子の場合には、あらかじめ段取りを組んでおくことが有効です。
朝『今日は、午前がプールで、お昼を食べたら、夕方から書道だね。夕食は6時。それまでのどこかで、今日やらなければならない分をさっさと終わらせて欲しい。いつにする? 終わってなければ夕食を出さないよ』と言います。
この言葉に焦って、『ボク朝終わらせるよ』と言えばすぐやらせることができます。ただし『夕食前』と答える子どもには、『あらそう夕食前ね。一応声がけするけど大丈夫?』と念を押してください。
宿題が終わっていないと夕食が出ない、というのは有効であることが多いです。男の子の場合は、言葉の論理的な約束に弱いのです。また調理の匂いでもすれば、宿題をやらずにいられなくなることでしょう。
その子の気質なりのやり方があるので、各々工夫して欲しいと思います。」
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子育ての悩みは尽きないものですが、それは子どもの幸せを願っているからこそ。夢を実現してほしい、有名大学に進学して安定した企業に入ってほしいなど、子どもの将来に期待する親も多いでしょう。
『将来賢くなる子は「遊び方」がちがう』では、子どもの可能性を広げるために、親が子どもにどう接するか、働きかけるかをわかりやすく解説しています。
2020年に大きく変わる教育制度に備えるためにも、ぜひ読んでほしい一冊。手にとって、日々の子育てに活かしてみてはいかがでしょうか。